在宅介護が限界に近づき、「ようやく預け先が見つかる」と信じて動いていた矢先、
突然の「受け入れが難しいかもしれません」という連絡。
その瞬間に押し寄せたのは、行き場がなくなる不安と、積み上げてきた準備が崩れるような落胆でした。
この記事では、僕たちがその状況からどう抜け出したのか、
実際に経験した「5つのステップ」を元にまとめています。
同じように悩むご家族の手がかりになればと思い、できる限り現実的に書きました。
1. まずは“受け入れ困難”の理由を正確に聞き取る
受け入れが難しいと言われたとき、感情が先に動きます。
ですが、状況を進めるために最初に必要なのは理由の把握でした。
- 暴言・暴力などの症状が他利用者に影響する可能性
- 夜間の見守り体制で対応が難しい
- 医療的な調整(薬含む)が必要な状態
これは家庭の問題ではなく、症状や状態による“専門性の領域”です。
原因を知ることで、次に進むべき方向が見えてきます。
2. 在宅が限界であることを、率直に施設側へ伝える
僕たちは事実として、次のことを丁寧に伝えました。
- 在宅での安全な介護が難しいこと
- 家族だけでは対応しきれない状態であること
- 次の受け皿が見つかるまで支援を継続してほしいという希望
これは“お願い”ではなく、現状を共有することで、施設と家族が同じ前提に立つための行為でした。
この一歩が、後の医療介入につながります。
3. 医療介入が必要かどうかを、介護と分けて考える
介護の現場で対応しきれない症状が出ているとき、
次に考えるべきは医療の領域です。
僕たちの場合は、専門の認知症治療病棟で状態を整える方針になりました。
薬の調整や行動面の安定を、医療側でしっかり見てもらうことで、
介護施設へ戻る可能性が再び開けてきます。
医療と介護を分けて考える。
これは、進まなくなった状況を再び動かすための重要な視点でした。
4. 家族だけで抱えないための“つなぎの支援”を相談する
症状が安定していない場合でも、すぐにすべての支援が途切れる必要はありません。
施設側やケアマネと連携しながら、次のような“つなぎ方”を確認しました。
- 医療介入が終わるまでの暫定的な受け入れ
- 日中の見守りや短期利用の継続
- 緊急的なショートステイ枠の利用可否
重要なのは、「見つかるまでの間、どこがどこまで担えるのか」を明確にすること。
ここを相談できるだけで、家族の精神的負担は大きく減ります。
5. 状態が落ち着いたら、再び介護ルートへ戻るという選択肢
医療介入の期間は、“後退”ではありません。
むしろ、介護が成立するための準備期間になります。
専門病棟で状態が落ち着けば、介護施設が安心して受け入れやすくなります。
これはどの家庭にも起こり得る、ごく現実的なプロセスです。
まとめ:受け入れ拒否は“終わり”ではなく、次のルートの始まりになる
受け入れ困難と言われた瞬間、僕たちは不安と落胆で立ち止まりました。
でも、理由の確認 → 状況説明 → 医療介入 → つなぎ支援 → 再び介護ルートへ、という流れで、
状況は少しずつ前に進みました。
もし今、同じような状況にいるなら、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「医療と介護のルートは行き来できる。拒否が出ても終わりではない。」
この視点が、一歩進む力になります。


