これから介護認定を受けるか悩んでいる方や、身近で介護が必要になりそうな方にとって少しでも参考になれば幸いです。
介護保険制度とは?
日本には介護保険制度という仕組みがあります。40歳以上の人は介護保険料を支払い、介護が必要になったときに「介護サービス」を使えるようになります。
サービスを使うためには要介護認定を受けることが必要です。認定を受けると、デイサービス・ショートステイ・訪問介護・福祉用具レンタル・住宅改修補助など、さまざまな支援を自己負担1〜3割で利用できます。
つまり、要介護認定は「介護の入り口」。ここを通らないと、どんなに困っていてもサービスは受けられません。
介護認定を受けようと思ったきっかけ
父は脳梗塞をきっかけに性格や行動が変わっていきました。怒りっぽくなり、特に一緒に住んでいた母に強く当たるようになったんです。
母は毎日のように泣きながら僕の家に来たり、夜中に電話をかけてきたり。僕も妻も限界に近づいていました。
今思えば、これが認知症の始まりでした。父は思い通りに動けず忘れっぽくなり、それを母が指摘することで口論が絶えなくなっていました。
市役所への相談が最初の一歩
どうすればいいか分からず、市役所に相談しました。そこで長寿介護課を紹介され、担当の方からこう言われました。
「要介護認定を取ればデイサービスが利用できます。二人が少しでも離れる時間を持った方がいいですよ」
そこから介護申請を進めることになりました。
市の方はとても親身になってくれ、相談できる相手ができただけでもすごく安心したのを覚えています。
認定調査の流れ
市の認定員が自宅に来て、本人への質問や動作確認、家族への聞き取りを行います。
- 本人への質問例:生年月日、日付、季節の確認/朝起きてからの生活の流れ/記憶テスト(例:「ボールペン、人差し指、腕時計」を見せて後で答える)
- 動作の確認:両手を上げられるか/椅子から立ち上がれるか/足を上げられるか/片足で立てるか
- 家族への聞き取り:本人の前では言いにくいこともあるため、配慮してもらえる。自分のときは一度認定員さんが帰ったふりをして横の自分の自宅に来て父の前では言いづらいことをすべて言えました。
仮決定は1週間ほどで出ますが、正式な通知が届くまでは1か月ほどかかります。
父の要介護度の変化と体験談
要支援2のとき
この時点では自分で入浴できていました。しかし一度湯船から出られなくなり救急車を呼んだことがあり、そこから徐々に体が動かなくなりました。
この頃から介護で役立つ小技を取り入れながら、少しずつ対応を工夫していました。
要介護2のとき
デイサービスを増やし、お風呂もデイサービスで入るようになりました。
さらに、このタイミングで住宅改修の補助制度を利用しました。導線の壁に手すりを設置したのですが、工事費20万円に対して自己負担は2万円だけ。介護保険の住宅改修制度では上限20万円まで補助が出るため、とても助かりました。
この時期には、家の環境を整えるために介護向けセンサーライトなども導入しました。
要介護4のとき
その後、自宅で転倒して股関節を骨折。入院を経て介護4になりました。退院後はオムツ生活となり、介護用品のレンタルで手すりや柵を追加。母も骨折して世話ができなくなったため、ショートステイの利用を始めました。
ショートステイ体験談は別記事に詳しくまとめています → ワタミの宅食レビュー
ケアマネジャーの存在
介護認定が決まると、担当のケアマネさんがつきます。レンタル器具やサービス利用については、ケアマネさんが手続きまでサポートしてくれるので、家族は最低限の対応(住民票の取得や契約書の署名など)だけで済みました。
早めの介護認定が大切
僕が一番伝えたいのは「取れるなら、介護認定は早めに取っておいた方がいい」ということです。認定やサービス開始まで最低でも1か月はかかります。
症状が悪化してからでは、その間の1か月は家族がすべてを背負うことになります。僕も父のときに学び、母の場合はすぐに介護認定を申請しました。
「親に介護認定なんてまだ早い」と思う人もいるかもしれません。でも、介護認定がなければ介護サービスは絶対に使えません。持っておくのは、いざというときの安心につながります。
まとめ
- 市役所に相談するのが最初の一歩
- 認定調査では本人と家族への聞き取りがある
- 要介護度によって使えるサービスや補助が変わる
- 住宅改修には補助金制度があり、自己負担は少ない
- ケアマネさんがつけば、手続きの負担も軽減できる
- 早めの介護認定が、家族の負担を確実に減らす
介護は突然始まります。「まだ大丈夫」と思わず、早めに備えることが本当に大切です。